パーソナルドクターによる予防医療促進を中心に、現代人の総合的な健康を支援するサービス『Wellness』。このサービスの黎明期からデザインワーク全般を担ってきたのが、業務委託メンバーの小竹良来さんです。武蔵野美術大学でインテリアデザインを学び、自身の運営する事務所で幅広いデザイン業務を手がけているという小竹さんに、『Wellness』にかける想いやデザインへのこだわりについて語ってもらいました。
エビデンスに基づく医療サービスに惹かれ、創業初期に参画
▼小竹さんはデザイン事務所を営む傍ら、ウェルネスの創業期からウェブサービス/アプリ『Wellness』全体のデザインワークを担当されています。まずはウェルネスにジョインするまでの、小竹さんのご経歴を教えてください。
私は美術大学でインテリアデザインを学んでいました。2017年に卒業してからはデザイン事務所に就職し、1年ほどプロダクトデザインや空間デザインに従事。その後独立してデザイン事務所を立ち上げ、現在に至ります。現在の事務所ではロゴデザイン、Webデザイン、グラフィックデザインなどを手がけています。企業向けのロゴデザインなどビジネス系のデザイン業務から、芸術祭のビジュアルプロデュースやCDジャケットのデザインなど芸術系のアートワークまで、幅広い分野のデザインに携わっています。
▼多彩なデザインを手がけている小竹さんがウェルネスに出会ったきっかけは何だったのでしょうか。
『Wellness』のシステム開発を創業期から手がけているエンジニアの野々山が、実は高校の同級生なのです。彼からサービス紹介パンフレットのデザインを依頼されたのが、ウェルネスを知ったきっかけです。この最初の仕事を通じてウェルネスの理念に共感し、アートディレクター・デザイナーとして協力したいと考えました。
▼『Wellness』のどのような点に共感したのですか?
近年、医療系・健康系の情報コンテンツは無数に存在していますが、実際はかなり玉石混淆で、信頼できない情報も氾濫している状況です。以前から私はそのことについて不信感を抱いていました。ところがウェルネスの理念やビジョンを野々山や代表の中田から聞くうちに、「この会社のサービスなら信頼できる」と確信できるようになったのです。『Wellness』が提供するパーソナルドクターサービスは、信頼できる医師が科学的なエビデンスに基づいたアドバイスを行います。『Wellness』というサービス、そしてウェルネスという健康の概念を世に広めることで、多くの人々のより良い生活に貢献したい。そのように考え、ウェルネスに参画することを決めました。
『Wellness』に関わるあらゆるデザインをプロデュース
▼小竹さんはウェルネスの創業直後から、サービスに関わるさまざまなデザインを手がけています。あらためて、具体的な仕事内容を教えてください。
一言でいうと、コーポレートデザインや『Wellness』のサービスに関するすべてのデザインをしているということになります。具体的には、ロゴマークのデザイン、WebサービスやスマホアプリのUI・グラフィックデザイン、サービス紹介パンフレットのグラフィックデザインなどですね。デザインのコンセプトワークから関わっているので、アートディレクターとデザイナーを兼ねているようなイメージです。それ以外にも、デザインの観点からサービス設計そのものに対して提案を行うこともあります。
▼『Wellness』のデザイナーとしてどのようなことを意識してデザインしているのでしょう?
『Wellness』に関わる人々との接点を、より良いものにすることです。UIデザインやグラフィックデザインは、あくまでその手段と考えています。「良い接点」をより詳しく説明すると、『Wellness』ブランドに対して、「誠実・快適・豊か」という3つの印象をもっていただくことが目標となります。まず「誠実」については、先ほど話したとおり、科学的なエビデンスと社会貢献への理念に基づいた誠実なサービスであるということですね。ふたつ目の「快適」については、従来の医療や病院のもつ、堅いイメージを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。従来の医療とは違い気軽に楽しく利用できる『Wellness』の「快適さ」を、デザインから感じとってほしいのです。そして3つ目の「豊かさ」とは、病気を治療して「マイナスをゼロに戻す」のではなく、病気を予防してより豊かな人生や自己実現を促進する『Wellness』のポジティブなビジョンを表現しています。
▼「誠実・快適・豊か」というブランドイメージは、たとえばデザインのどのような点に表れていますか?
サービスの象徴であるロゴマークは、創業当初に代表の中田と話し合いながら、『Wellness』の理念を表すデザインを追求しました。完成したロゴは現在も使われているものですが、医療のシンボルである十字架をモチーフにしています。ただし、従来の医療からアップデートされたサービスであることを表現するために、角に丸みをもたせ、全体を直線ではなく微妙な曲線で描くことにより、強さと豊かさ、優しさを兼ね備えた十字架に仕上げました。ロゴマーク以外でも、サービスサイトやアプリ全体を優しい配色で統一することで、病院的・権威的なイメージを払拭。モダンな快適さを視覚的に提供するため、レイアウトやフォントに至るまで工夫を重ねました。
『Wellness』のさらなる進化に、デザインで応えたい
▼たしかに従来の医療サービスとは一線を画した、新しさと優しさの感じられるデザインです。デザインをするなかでとくに苦労したことは何でしょうか。
スマホアプリのデザインには苦心しましたね。アプリでのサービスはまだ新しいものですし、サービス内容や仕様も今後変更する可能性があります。それを踏まえて、これからサービスがどのように変化してもすぐ対応できるよう、汎用性の高いデザインを考える必要がありました。
▼あらためて、ウェルネスでのデザインワークの魅力を教えてください。
デザイナーの仕事には、「ただ見た目がかっこいいものをつくれば良い」「売上が伸びさえすれば良い」という種類の仕事もあると思いますが、ウェルネスでのデザインワークは違います。「多くの人の健康に貢献する」という明確な目標が『Wellness』にはあり、それを実現するためにデザインが存在しています。「何のためにデザインをするのか」を常に考え、そのためのアイディアを経営者とともに一から実現していけるのは、ウェルネスのデザイナーならではのやりがいだと思います。
▼ウェルネスも創業当初と比べるとかなり人数が増え、事業・サービスの規模も順調に拡大しつつあります。今後のさらなるサービスの発展も見据え、小竹さんの抱負を聞かせてください。
現在の『Wellness』はパーソナルドクターによるサービスがメインであり、順調にメンバーシップが拡大していることは、初期から関わっている私にとっても喜ばしいことです。しかし、ウェルネスの目標はこのサービスに限定されたものではありません。ウェルネスが目指すのはあくまで「ウェルネス」という健康の概念を広め実現していくことであり、創業期にはパーソナルドクター以外のアイディアも複数ありました。さまざまなサービスを試行錯誤した結果が現在の『Wellness』ですが、今後も企業の規模やフェーズに応じて、新たなサービスに挑戦することになるでしょう。私の目標は、デザイナーとしてこうした会社の変化にしっかり適応していくこと。企業理念やブランディングと緊密に結びついたデザインを通じ、『Wellness』の成長に貢献したいです。